熊本県の有力産業・商工業・農林水産業
熊本県の産業について、まずは農林水産業を見て行きましょう。県は全国でも有数の農業県となっており、農業産出額は全国で7位に位置します。各品目の生産量を見ていくと、トマト・い草が目立ちます。特にい草は、熊本県以外での生産はほとんど行われていません。その他、葉たばこ、カスミソウ、スイカなどといった独特の品目が全国1位になっており、その他にも全国上位の生産量を誇る品目が多数あります。農林水産省の統計では、全国の主要農畜産物上位10品目について、県は実に、生乳・肉用牛・トマト・いちご・みかんといった5つの部門でトップ5に入っています。扱う作物のバランスの良さが伺えます。水産業については、有明海や天草沿岸において、車海老・のり・真珠など、特に養殖が盛んに行われています。
商工業について見ていくと、製造業は近代以後では長い間、めぼしいものが展開されてきませんでした。そのために、第一次産業、第三次産業のウェイトが高かったです。しかしながら、現在ではハイテク産業や輸送機械といった業種について、積極的な企業誘致を行っています。最近ではまた、太陽電池関連産業についても、その振興にも力を入れています。県の産業についてとり詳しく見るために、中心としである熊本市について見て行きましょう。熊本市は日本でも有数の農業王国として知られています。農家総数、専業農家数、農業就業人口、経営耕地面積、そのいずれにおいても九州で1位、農業産出額は日本の市町村中にあって6位という優秀さです。江津湖以南に広がる田園地帯では、米をはじめとして、ナス、メロンを含む、いわゆる園芸作物各種が特徴的です。中でも、米とメロンは九州で1位、ナスは日本で2位といった産出額を誇っています。そのほかにも、金峰山山麓の河内地区、小島地区、北部地区といったところで、温州みかんが盛んに栽培されています。これと関連して、周辺地区には選果場や加工工場も多く見られます。東部地区はまた作物の種類が独特で、メロンなどの畑作のほかにも、酪農も行われています。
工業について見ていくと、従来熊本市内では、大規模工場の立地は進んでいませんでした。現在でも、NECの半導体工場やフードパルの食品工業を除いて、大規模な企業・工場は少なくなっています。商業について見ていくと、近年は郊外に大型商業施設が進出しているのが目立ちます。そのために、中心部の繁華街では人通りが減りつつあります。2011年以降では九州新幹線開業の影響が大きく、観光客増加もあって、通行量は再び反転しています。