信用金庫の法人融資で借入審査

今まで取引のない金融機関に融資申し込みって不安ですよね。
特に信用金庫と取引のない人にとっては、信用金庫ってどんな金融機関なの?ところからスタートかもしれません。
では、信用金庫に法人融資を申し込むときにどんなところに注意するべきか、信用金庫の簡単な説明から、実際の注意点までを説明します。

・信用金庫の法人融資ってどんな感じ?
信用金庫とは、戦後すぐに作られた「信用金庫法」という法律に基づいた金融機関です。
その最大の特徴は、協同組織金融機関であることで、いわゆる銀行のような株式会社形態の完全な営利企業ではなく、地元の人に会員になっていただく際に出資してもらう出資金を資本として設立され、融資取引をできる先が地元の個人と中小企業に法律上限定されているところです。
実際に信用金庫が実際に行っている業務は、実質的には銀行と同じで、預金を預かって、それを融資するという業務が主力になっています。
ただ、銀行と大きく違う点があります。それは、顧客との距離が近いことです。
信用金庫では、各店舗の営業エリア内で、複数の渉外担当者に更に担当地域を割り振っており、その担当地域内を毎日バイクで走り回りながら、個人顧客・法人顧客のところに日々訪問して面談しています。そして、法人顧客であれば、顧客の事務所内で預金の話・融資の話をするのです。
そのため、決算の内容だけでなく、実際の営業の状況や役員。従業員の関係、近隣の人との関係性なども加味しながら、お客様との商談を進めていくことが特徴です。

・申込にあたって知っておきたいこと
信用金庫は基本的には銀行と同じ業務を行っていますので、基本的には銀行に融資を申しこむ時と気をつける点は一緒です。

銀行も含めた金融機関による融資では、決算書の内容がとても重要な要素となります。
毎期安定した収益を計上しているか、債務超過に陥っていないか、不良資産はないか、等が主なチェックポイントとなります。

そして、その決算内容を基にして、申込内容を審査することとなりますが、その際には、主に資金使途・返済計画・保全について審査することとなります。

まず、審査の前提条件として、資金使途について確認します。
資金使途は、借りる側としてはあまり重視されない人も多いですが、金融機関の審査では意外と重要な項目です。資金使途の妥当性や計画性を基にして、その会社の経営者のレベルやモラルを審査する側面もあるからです。
また、その法人の事業内容や性質から資金使途に納得がいかないケースでは、資金の流用・散財や隠れ負債、裏金などに使用されることなどが懸念されるため、どんなに決算上で返済能力があっても、融資案件としてはかなり早い段階で否決することが多いです。

次に返済計画について審査します。
これは、過去の決算内容や顧客からの提出資料に基づいて、今回取り組む融資が無事に返済されるかどうかについて審査します。ここでは色々な着眼点がありますが、大きなところでは、業績の安定性と返済能力について検討します。
業績の安定性とは、現在の事業が今後も変わらず継続していけることです。また、何か問題が発生した場合に自力で持ちこたえられる能力についても併せて審査します。
返済能力とは、現在の収益状況における融資金の返済能力のことです。基本的には決算書の数字を基に判定しますが、新しく取り組んでいる計画などがある場合には、それも踏まえた計画値を基に、返済が可能かどうかを審査することになります。

同時に保全について審査します。
保全とは、顧客に何か不測の事態があった時に損失発生を防ぐ方法のことを指します。
一般的には、不動産担保や信用保証協会の保証、連帯保証人等のことを指しますが、それ以外にも金銭債権や在庫等の動産を担保に取るケースや、資金の流れを抑えていざという時には差し押さえができるようにするなど、様々な手段があります。
完全な保全をとることはなかなか難しいですが、どの程度保全が効くかによって、返済計画に対する審査にどの程度確実性を求めるかが決まります。
顧客の経営内容が盤石で、融資が回収不能になることについて心配する必要がない場合では、そもそも保全面を検討しないこともあります。

このような審査をもとにその融資案件のリスクについて判断し、融資案件としての取り組み可否や、融資条件(金額・期間・金利)について決めていくのです。

・信用金庫に融資申し込みする際の注意点
信用金庫への融資申し込みには、銀行とは別の注意点があります。
まずは、会員資格について注意が必要です。
信用金庫から融資を受けるためには、原則、信用金庫の会員になることが必要となります。
会員になれる条件(会員資格)には大きく2つあります。
一つはその信用金庫の営業エリア内に住所・勤務先・本店所在地・事業所があることです。もう一つは、従業員が300人以下であるか、資本金が9億円以内であることです(個人事業主の場合は従業員数のみで判断します)。
会員資格は融資対象となるための絶対条件となりますので、申込前に確認が必要です。また、融資を受けた後に会員資格を喪失(区域外に転居した場合など)した場合には、それ以降は新たな融資が受けられなくなるとともに、既存の融資について一括返済を求められるケース等もありますので、今後の事業計画上、事業所の移転等を視野に入れている場合には特に注意が必要です。
つぎに、各店舗の営業エリアについて注意が必要です。
先述の通り、信用金庫の営業エリア外の融資は出来ませんが、それとは別に、信用金庫の内部規定として、各店舗の営業エリアが細かく定められている場合があります。
その時には、営業エリアとなっていない店舗に申込をしても融資対応できないケースがあります。これは信用金庫という金融機関では、その地区の担当者が定期的に顧客訪問できることが債権管理上とても重要な役割を持っており、融資取引の前提となるためです。

・信用金庫の融資の難易度は
地方銀行等と比較すると、相対的に融資の難易度は低く、融資条件についても比較的柔軟に対応してくれます。決算書上で返済能力が不足する場合でも、それ以外の実績(過去の返済状況や積立等の掛込状況、個人・親族の資力や取引状況等)も踏まえて審査はしてくれます。
ただし、信用金庫の審査手法には、銀行と若干異なる特徴があります。
それは、その地域の担当者による情報収集による部分が大きいところです。
先述の通り、信用金庫では、営業担当者が常に自分の担当地域内の法人事業所や個人宅を訪問しながら、集金活動等を通じて、様々な情報収集を行っています。
その中で見つけた情報や口コミを参考にしながら、場合によっては近隣の人や親密な企業経営者から顧客の紹介を受けて、法人の事務所を訪問して、人間関係を構築すると同時に資金ニーズを掘り起こしていくのです。
そのため、審査上重視する点も、決算の内容だけでなく、会社・経営者・従業員との普段の取引状況や経営者・従業員の人柄・風評なども含めて、総合的に審査しています。
また、そのような経緯で取引開始することが多い関係上、信用金庫の融資窓口に訪問して相談する場合には、渉外担当者が訪問して受け付ける場合に比べて、顧客に確認する内容が多くなります。場合によっては、改めて渉外担当者を訪問させて融資相談を受け付けるケースなどもあります。
よって、特に初めて融資を申し込む際には、その前から預金口座(できれば積立集金のある定期積金)を開設して事前に取引しておくことや、近隣の有力者やその信金の既存取引先から紹介してもらって担当者と面談するなどの方法をとった方が、融資申し込みがスムーズに行くことが多いです。

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